中国語の文章を読むたびに全ての語を調べていると、話の内容を忘れてしまうことがあります。反対に、分からないまま先へ進んで、何を読んだか残らないこともあります。まずは今日は内容を楽しむのか、一文の形を調べるのかを決めてみましょう。目的が変われば、辞書を引く場所も、読む速さも変わります。
短い二つの自作本文を使って、読解・精読・多読の進め方を試します。ピンインや訳は後から開き、最初にどこまで分かったかも残してください。
精読と多読は、同じ文章でも使い分けられる
| 今日の目的 | 読むもの | 辞書と確認 |
|---|---|---|
| 一文を詳しく理解する | 調べれば意味を追える短い文。 | 語の意味・役割・つながりを確かめ、訳と比較する。 |
| 内容を追って読み進める | 大半が既知語で、興味の持てる読み物。 | 細部で止まりすぎず、内容を左右する語は必要に応じて確認する。 |
| 必要な情報を探す | 案内、予定、メニューなど。 | 目的に合う場所を探し、日時や条件を正確に確かめる。 |
多読は、難しい記事を我慢して大量に読むことではありません。話の筋を追える易しさの読み物を選び、内容を楽しみながら読み進めます。一行ごとに多数の語を調べる状態なら、精読用に短く切るか、より易しいものへ替えましょう。
本文A:予定の流れを読む
まず「午後はどこへ行くか」「何冊借りたいか」を探してください。まだ一文ずつ日本語に訳さなくても構いません。
今天是星期六。我上午在家看书,下午去图书馆。我想借两本书。晚上我和朋友一起吃饭。
読みと訳を確認する
普通話・簡体字の例です。ピンインは元の声調で表記し、軽声には声調記号を付けません。
Jīntiān shì xīngqīliù. Wǒ shàngwǔ zài jiā kàn shū, xiàwǔ qù túshūguǎn. Wǒ xiǎng jiè liǎng běn shū. Wǎnshang wǒ hé péngyou yīqǐ chī fàn.
今日は土曜日です。私は午前は家で本を読み、午後は図書館へ行きます。本を2冊借りたいです。夜は友人と一緒に食事をします。
一起の一は元調yīと表記していますが、後ろのqǐは第3声なので、実際にはyìqǐと発音します。
上午・下午・晚上を見つけると、時間の流れが分かります。图书馆を知らなくても、午後に行く場所だと仮置きできますが、行き先を答えるには意味の確認が必要です。借を知らなければ、想の後ろにある動作として印を付け、辞書で「借りる」を確かめます。
ここで日本語と同じ字だからと「本」を本そのものだと決めないことも大切です。两本书の本は、本を数える量詞です。見慣れた字でも、文の中での役割を見てください。
本文B:普段と今回の条件を分ける
次は架空の書店のお知らせです。土曜日に行くつもりで、開店と閉店の時刻を探してみましょう。
这家书店平时九点开门。本周六,十点开门,下午五点关门。想买中文书的朋友,可以先在网上看书单。
読みと訳を確認する
ピンインは元調、軽声は声調記号なしで表記します。
Zhè jiā shūdiàn píngshí jiǔ diǎn kāi mén. Běn zhōuliù, shí diǎn kāi mén, xiàwǔ wǔ diǎn guān mén. Xiǎng mǎi Zhōngwén shū de péngyou, kěyǐ xiān zài wǎngshàng kàn shūdān.
この書店は普段9時に開店します。今週の土曜日は10時に開店し、午後5時に閉店します。中国語の本を買いたい方は、先にインターネットで本のリストを見ることができます。
九点だけを見て「9時」と答えると、今回の予定を取り違えます。平时と本周六が、どの時刻にかかるかを確かめてください。書店へ行く時刻を知りたい回なら、最後の一文を全て分析する前に、必要な情報が見つかったか確認できます。
最後の一文を精読するなら、「想买中文书的」が後ろの朋友を説明し、先が作業の順序を示すところを見ます。語を一字ずつ日本語へ置き換えず、まとまりとして理解しましょう。
辞書は、目的に合わせて引く
- 一度読む:分かった話題と、意味が止まった箇所を残す。
- 必要な語を選ぶ:行き先、否定、時刻など、答えや話の筋を変える語を先に確認する。
- 文へ戻す:辞書の最初の訳をそのまま採用せず、この文で自然かを考える。
- 本文を閉じて説明する:一文程度の日本語で内容を伝え、必要なら再度本文を開く。
多読中でも、重要な語を調べて構いません。調べる数を厳しく制限するより、調べないと大筋が全く分からない文章を読み続けていないかを見ます。漢字からの推測は仮の意味として扱い、辞書・文脈・訳で照合しましょう。
難度と速度は、理解した内容と一緒に見る
学習者向けの短い物語、対訳付きの読み物、興味のある日常の案内などから選びます。母語話者向けの幼児の本も、独特の語や省略があり、必ずしも初心者に易しいとは限りません。最初の数文を読み、誰が何をするか追えるかで試してください。
読む速さを測るなら、同じ文章の再読と、初めての文章を別にします。再読は内容を知っている分だけ速くなることがあります。「何分だったか」に加え、「要点を言えたか」「時刻や否定を取り違えなかったか」も記録します。音読する速さとも分けましょう。
4問で内容を確認
- 本文Aで、午後に行く場所はどこですか。
- 本文Aで、本を何冊借りたいですか。
- 本文Bの、今週土曜日の開店は何時ですか。
- 本文Bの、今週土曜日の閉店は何時ですか。
答えと、確認する箇所
- 図書館です。下午去图书馆を確かめます。
- 2冊です。两本书を確かめます。
- 10時です。普段の9時ではなく、本周六の後を読みます。
- 午後5時です。下午五点关门を確かめます。
答えを見てから読めた回は復習として残し、初めて読む別の文章でも同じ種類の情報を探してみましょう。
語が分からず止まるときは単語の覚え方、読めても音と結び付かないときは音読の進め方へ。文の土台は基本語順で確かめられます。
参考資料
TUFS言語モジュール(東京外国語大学21世紀COEプログラム「言語運用を基盤とする言語情報学拠点」)
- Paul Nation(1997):The Language Learning Benefits of Extensive Reading:語彙難度、学習者向け読み物、意味を追う読みと語彙学習の組合せ。英語を中心とした研究の概説。
- 東京外国語大学・動詞述語文:本文の基本語順の確認。
- Paul Nation:The principles of vocabulary learning:文脈における語の確認と想起。
