中国語の不と没は、どちらも否定に使いますが、単純に「不=現在、没=過去」と分けると、使い方を取り違えてしまいます。習慣や意思、状態を否定するのか、動作が実現していないことを言うのかを、文脈と一緒に確認しましょう。
普通話・簡体字による基本の説明です。ピンインは語の元の声調を基本とします。不はbùと示しますが、第四声の直前では通常búと発音します。詳しくは発音・変調の入門で確認できます。
不:しない、そうではないという習慣・意思・状態
不は、動詞や形容詞などの前に置きます。まずは、普段の習慣や好み、これからの行動をしないという意思、現在の状態を打ち消す例を見てください。
1.我不喝咖啡。
Wǒ bù hē kāfēi.
私はコーヒーを飲みません。
2.我今天不去。
Wǒ jīntiān bù qù.
私は今日は行きません。
3.今天不冷。
Jīntiān bù lěng.
今日は寒くありません。
1は普段飲まない習慣として、2は今日は行かないという予定や意思として使える例です。3の冷は形容詞で、その前に不を置いて状態を否定します。実際の意味は、前後の話や発話場面でも決まります。
没:動作が起きなかった・まだ実現していない
没または没有は、動作が実現したかどうかを打ち消す基本形に使います。過去の出来事だけでなく、今の時点までまだ起きていないことも表します。
4.我昨天没喝咖啡。
Wǒ zuótiān méi hē kāfēi.
私は昨日コーヒーを飲みませんでした。
5.我还没吃早饭。
Wǒ hái méi chī zǎofàn.
私はまだ朝ご飯を食べていません。
4は昨日、飲む動作が起きなかったということです。5の还没は「まだ〜していない」。後で食べる予定がある場合にも使えます。不を使うと「食べない」という意思や習慣の話になり得るため、単語だけ置き換えないようにしましょう。
有を否定する基本形は没有
持ち物や時間がないことを言う場合は、所有を表す有を没有で否定します。「不有」とはしません。
6.我没有时间。
Wǒ méiyǒu shíjiān.
私は時間がありません。
7.我没有手机。
Wǒ méiyǒu shǒujī.
私は携帯電話を持っていません。
6・7は今の状態としても使えるので、「没があれば必ず過去」という覚え方では説明できません。動作の実現を否定する没と、所有の有を否定する没有を、それぞれ文の形で確かめます。
過去の習慣でも、不を使う
8.我以前不喝咖啡。
Wǒ yǐqián bù hē kāfēi.
私は以前コーヒーを飲みませんでした。
8では以前=以前、という過去の時期における習慣を述べています。4の「昨日は飲まなかった」という一回の出来事とは、見ているものが違います。日本語ではどちらも「飲みませんでした」でも、中国語は同じ形になるとは限りません。
動作の了を否定するときは、機械的に残さない
動作の実現を表す「動詞+了」を没で否定する基本形では、その了は通常付けません。ただし、文末の了には新しい状況を示す働きもあるため、「否定文なら了は絶対に使えない」とも言えません。ここではまず、没で「まだ実現していない」と言う短い文を練習しましょう。
また、不をすべて主観、没をすべて客観と分類するより、何を打ち消したいかを具体的な場面で考えてください。補語や特殊な構文など、この記事の基本形だけで扱えない用法は、学習が進んでから確認します。
三つの確認問題
- 昨日、実際にはコーヒーを飲まなかった。「我昨天(不・没)喝咖啡。」ではどちらですか。
- 今、携帯電話を持っていない。「我(不・没)有手机。」ではどちらですか。
- 以前は普段コーヒーを飲まない習慣だった。「我以前(不・没)喝咖啡。」ではどちらですか。
解答と理由を見る
- 没。我昨天没喝咖啡。 Wǒ zuótiān méi hē kāfēi. 昨日の動作の実現を否定します。
- 没。我没有手机。 Wǒ méiyǒu shǒujī. 所有の有は没有で否定します。
- 不。我以前不喝咖啡。 Wǒ yǐqián bù hē kāfēi. 過去の時期でも、ここでは習慣を否定しています。
復習では、同じ動作について「普段しない」「昨日しなかった」「まだしていない」の三つの場面を作ってみてください。進め方に迷ったら中国語初心者の学習の始め方へ。
参照した大学教材
東京外国語大学・中国語文法モジュールの動詞述語文の否定形、所有の有と否定、アスペクト助詞の了、語気助詞の了を参照しました。確認日:2026年10月26日。例文・問題は学習用に構成し、音声は掲載していません。
