中国語の了を、日本語の「〜した」にだけ対応させると、文が理解しにくくなることがあります。入口では、動作が実現したことを示す了と、新しい状況・変化を伝える文末の了を分けて考えてみましょう。
普通話・簡体字による基本の説明です。どちらの了も、ここでは軽声のleと読みます。ピンインは元の声調を基本にし、動詞直後の助詞の了は前の動詞につなげて表記します。音声の読み方は発音入門も参照してください。
動詞の後ろの了:その動作が実現した
動詞に了を付けると、動作が実際に起きたことを述べられます。文法では「アスペクト助詞」と呼ばれる用法です。まず、動作と数量が具体的に分かる例を見ましょう。
1.我买了两本书。
Wǒ mǎile liǎng běn shū.
私は本を2冊買いました。
2.他喝了三杯茶。
Tā hēle sān bēi chá.
彼はお茶を3杯飲みました。
買う・飲むという動作が実現したことを示しています。ここでは数量を付けることで、何をどれだけしたかも明らかにしています。「動詞+了+名詞」を、どんな名詞でも置くだけで自然な完結した文にできるわけではありません。最初は、このような具体的な一文で練習してください。
その動作をしていないなら、没で否定する
3.我没买那本书。
Wǒ méi mǎi nà běn shū.
私はあの本を買いませんでした/まだ買っていません。
3では買う動作の実現を否定しています。この基本形では、動詞の後ろにあった動作の了を残しません。日本語で過去の否定になるか、今まで買っていない意味になるかは、時間や文脈でも決まります。
文末の了:今はそのような状況になった
文末に置く了には、新しい状況の発生や変化を示す働きがあります。動作が終わった場合だけに使うものではありません。
4.天冷了。
Tiān lěng le.
寒くなりました。
5.我不喝咖啡了。
Wǒ bù hē kāfēi le.
私はもうコーヒーを飲みません。
4は寒い状況になったこと、5は飲まないことにした・飲まなくなったという変化を伝える例です。5には否定の不と文末の了が一緒にあります。「否定文に了は絶対使えない」と覚えると、この用法を説明できません。
未来に関わる文にも、了が現れる
6.快下雨了。
Kuài xiàyǔ le.
もうすぐ雨が降りそうです。
7.明天吃了午饭,我们再出发。
Míngtiān chīle wǔfàn, wǒmen zài chūfā.
明日、昼食を食べてから、私たちは出発します。
6は「快〜了」という、出来事が近づいた状況を言う形です。7では、明日の昼食を食べることが実現した後に出発する、という前後関係を表しています。これからの話にも現れるため、了そのものを「過去形」とは考えません。
置かれる場所だけで、いつも二つを分けられる?
動詞の直後にあり、同時に文末でもある場合など、二つの了の働きが重なったり、文脈で理解が変わったりすることがあります。また、文末の了を「変化」の一語だけに置き換えて、すべての使い方を説明できるわけでもありません。
初めは細かい名称を当てるより、「何が実現したのか」「前とどこが変わったのか」「いつの出来事を話しているのか」を確認しましょう。疑問点がある文は、前後の会話も含めて教材や指導者に確かめてください。
三つの確認問題
- 本を2冊買う動作の実現を、この記事で学んだ助詞で表します。「我买( )两本书。」に入るのは何ですか。
- 本を買う動作をしていない。「我没买那本书。」の买の直後に、動作の了を加えますか。
- 「我不喝咖啡了。」は「過去にコーヒーを飲まなかった」と「もうコーヒーを飲まない」のどちらに近いですか。
解答と理由を見る
- 了。我买了两本书。 Wǒ mǎile liǎng běn shū. 買う動作の実現を表します。
- 加えません。我没买那本书。 Wǒ méi mǎi nà běn shū. 没で動作の実現を否定する基本形です。
- 「もうコーヒーを飲まない」に近い意味です。Wǒ bù hē kāfēi le. 飲まないという新しい状況を示しています。
復習では、1・3の買う動作の組と、5の習慣の変化を比べてみてください。学習の順序は中国語初心者の始め方でも紹介しています。
参照した大学教材
東京外国語大学・中国語文法モジュールのアスペクト助詞の了、語気助詞の了、近接未来の表現を参照しました。確認日:2026年10月26日。例文と問題は学習用に構成したもので、音声は掲載していません。
