「カップを割った人」より「割られたカップ」の話をしたい。そんなとき、中国語では被を使い、動作を受けた側を文の最初に置くことができます。誰に何をされ、その結果どうなったかを説明する形です。
日本語の受け身を全て被へ置き換えるのではなく、話の中心と、受けた影響を決めて使ってみましょう。物の破損から、名前の誤記、表彰や翻訳まで、場面を分けて練習します。
基本形:受け手+被+行為者+動詞句
受けた側+被+した人・原因+動詞+結果など
文頭に来るのは、動作をした人ではなく、影響を受けた人や物です。被の後ろに行為者を置き、その後で何が起きたかを述べます。行為者は人に限らず、風などの場合もあります。
- 我的杯子被弟弟打破了。
Wǒ de bēizi bèi dìdi dǎpò le.
私のカップは弟に割られました。
話の中心はカップです。弟弟が行為者、打破が割るという結果まで含む部分です。 - 桌上的纸被风吹走了。
Zhuō shang de zhǐ bèi fēng chuīzǒu le.
机の上の紙は風に吹き飛ばされました。
人が行った動作でなくても、この形で原因を示せます。
誰がしたかを言わない文もある
行為者が分からない、または今は重要でないときは、被の直後に動詞句を続けられます。「被を使ったら、誰にされたかを必ず書く」と覚えなくても大丈夫です。
- 我的自行车被人骑走了。
Wǒ de zìxíngchē bèi rén qízǒu le.
私の自転車は誰かに乗っていかれました。
人は、具体的に誰か分からない行為者を表しています。 - 那封邮件被删掉了。
Nà fēng yóujiàn bèi shāndiào le.
あのメールは削除されました。
この文では行為者を述べていません。前後の文に説明がなければ、誰が削除したかまでは分かりません。
知らない行為者を人と置く方法と、行為者を省く方法を区別して読んでください。どちらでも、出来事の影響を受ける物は、前から話題になっているメールや自転車です。
被は「悪いこと専用」ではない
困った出来事でよく使われますが、好ましいことや中立的な出来事にも使われます。日本語訳に「される」があるかだけでなく、文の中で何を話題にしているかを見ましょう。
- 小李被老师表扬了。
Xiǎo Lǐ bèi lǎoshī biǎoyáng le.
李さんは先生に褒められました。
授業でよくできた人について報告する場面です。褒められるという良い内容でも被が使えます。 - 这本小说被翻译成日语了。
Zhè běn xiǎoshuō bèi fānyìchéng Rìyǔ le.
この小説は日本語に翻訳されました。
作品について説明する文で、翻訳者はこの文では示していません。
被を入れると必ず迷惑の意味になる、という覚え方は避けましょう。一方で、日常の全ての説明を受け身にする必要もありません。誰が何をしたかが話の中心なら、行為者を主語にする普通の文でも伝えられます。
動詞の後ろで、受けた影響を伝える
初めは、打破・吹走・删掉など、結果を含むまとまりで練習します。「受け手+被+人+動詞一字」だけを並べるより、何がどう変わったのかまで述べると、出来事が具体的になります。
| 動詞句 | 結果・内容 | 対象の例 |
|---|---|---|
| 打破 | たたくなどして、割れた。 | カップ |
| 写错 | 書いた内容が間違っていた。 | 名前 |
| 淋湿 | 雨などにぬれて、湿った。 | 本 |
| 吵醒 | 音で眠りから起こされた。 | 眠っていた人 |
表扬のように、それ自体で出来事の内容を表せる語もあります。全ての動詞へ同じ補語を足すのでなく、その語の用例と合わせて確かめてください。
否定の没・没有は、被より前
出来事が起きなかったことを言う場合は、没・没有を被の前に置きます。肯定文の完了を表す了は、そのまま残しません。不を使う習慣・一般的な説明などもありますが、まずは次の具体的な出来事の否定から始めます。
- 这扇门没有被打开。
Zhè shàn mén méiyou bèi dǎkāi.
このドアは開けられていません。
点検したところ、ドアを開けた形跡がないという場面です。 - 我的书没被雨淋湿。
Wǒ de shū méi bèi yǔ línshī.
私の本は雨でぬれませんでした。
雨の後に、かばんの中の本を確認して話す場面です。 - 我的名字被写错了。
Wǒ de míngzi bèi xiěcuò le.
私の名前は書き間違えられていました。 - 孩子被响声吵醒了。
Háizi bèi xiǎngshēng chǎoxǐng le.
子どもは物音で起こされました。
日本語から作るときは、話の中心を選ぶ
「弟がカップを割った」なら弟を、「私のカップが割られた」ならカップを話の中心にできます。同じ出来事でも、何について話すかが違います。被の文を作るときは、受け手、行為者、動詞句の三つを先にメモしてみましょう。
ただし、日本語の「してもらった」を、そのまま被へ替えるわけではありません。また、物の状態を言う文でも必ず被が必要とは限りません。文型を使うこと自体を目標にせず、伝えたい関係が合っているかを確かめてください。
確認問題
- 「我的杯子被弟弟打破了。」で、動作をした人と受けた物を答えてください。
- 「那封邮件被删掉了。」から、削除した人の名前は分かりますか。
- 「このドアは開けられていない」を、没有と被を使って言ってください。
- 「先生に褒められた」は良いことなので、被は使えませんか。
答えと解説
- 行為者は弟、受けた物は私のカップです。被の前後を区別します。
- この文だけでは分かりません。行為者を省いています。
- 这扇门没有被打开。
Zhè shàn mén méiyou bèi dǎkāi. - 使えます。例は小李被老师表扬了。
Xiǎo Lǐ bèi lǎoshī biǎoyáng le.です。被を悪いこと専用とはしません。
