「この紙を机に置いて」「住所を書き間違えた」のように、ある物をどうしたか、その後どうなったかを話すとき、中国語では把で対象を動詞の前に出す形が使えます。ただ、日本語に「を」があれば全部把に替える、という文型ではありません。
まずは、目の前の物を置く、片付ける、最後まで終える場面で練習しましょう。何を対象にし、どこまで伝えるのかを決めると、語順が見えてきます。
基本は「誰が+把+対象+どうしたか」
普段の動詞の文では動詞の後ろに置く対象を、把の後ろへ置きます。その後に、行ったことと結果・行き先などを続けます。
主語+把+対象+動詞+結果など
例えば放は「置く」ですが、把の文では、何をどこに置くかまで伝えると状況がはっきりします。主語が分かる依頼では、主語を省いて始めることもできます。
- 请把这张纸放在桌子上。
Qǐng bǎ zhè zhāng zhǐ fàng zài zhuōzi shang.
この紙を机の上に置いてください。
手に持っている紙の置き場所を頼む場面です。把の対象は这张纸で、放在桌子上が置く先を示します。
対象は、何を指すか分かるものを
把の後ろには、文脈から取り上げられる対象を置きます。「この紙」「あの一杯の麺」「自分の宿題」のように、何について話すかを先に決めてください。必ず这や那を付けるという意味ではなく、目の前のドアなど、場面で特定できることもあります。
反対に、「何か飲みたい」のように、まだ対象を決めず希望を述べるだけなら、把を使おうとせず基本の文から考えます。目的語を前へ動かす練習だけでなく、対象に何が起きるかを説明する文として使いましょう。
- 我把地址写错了。
Wǒ bǎ dìzhǐ xiěcuò le.
住所を書き間違えました。
いま書いた住所の話です。写错は、書いた結果が誤っていたことを表します。 - 她把那碗面吃完了。
Tā bǎ nà wǎn miàn chīwán le.
彼女はあの一杯の麺を食べ終えました。
食べる動作だけでなく、完で最後まで終えたことを示します。 - 请把这句话读一遍。
Qǐng bǎ zhè jù huà dú yī biàn.
この一文を一度読んでください。
ここでは一遍が動作の回数を示します。一は第4声biànの前で、実際にはyíと発音します。
動詞の後ろには、結果・場所・回数などが続く
把の文では、「把+対象+動詞一字」だけで終えようとしないのが、最初のコツです。動詞の後ろに何が必要かを、伝える内容から選びます。結果補語だけが使えるわけではなく、場所、相手、回数なども続きます。
| 伝えること | 例文中のまとまり | 見るところ |
|---|---|---|
| 結果 | 写错・吃完 | 間違えた、終えたなど。 |
| 場所 | 放在桌子上 | どこへ置くか。 |
| 回数 | 读一遍 | 何回するか。 |
| 相手 | 发给我 | 誰に送るか。 |
否定や「できる・したい」は、把より前へ
今回の基本形では、没・别、能・想などを把の前に置きます。没で出来事を否定するときは、動作の実現を表す了をそのまま残さないようにします。
- 我没把作业做完。
Wǒ méi bǎ zuòyè zuòwán.
宿題をやり終えていません。
取り組んでいる宿題の話です。終えたという結果を否定しており、全く手を付けていないとまでは限りません。 - 别把手机放在椅子上。
Bié bǎ shǒujī fàng zài yǐzi shang.
スマートフォンを椅子の上に置かないでください。 - 你能把这封邮件发给我吗?
Nǐ néng bǎ zhè fēng yóujiàn fāgěi wǒ ma?
このメールを私に送ってもらえますか。
場所や相手を足して使う
- 我已经把照片发给老师了。
Wǒ yǐjing bǎ zhàopiàn fāgěi lǎoshī le.
写真はもう先生に送りました。
送る予定だった写真について報告する場面です。 - 他把钥匙放进包里了。
Tā bǎ yàoshi fàngjìn bāo li le.
彼は鍵をかばんの中に入れました。 - 我想把这段话写下来。
Wǒ xiǎng bǎ zhè duàn huà xiěxiàlai.
この話の一節を書き留めたいです。
写下来は、書いて残すというまとまりです。想は把の前に置いています。
「送った」なら送り先、「入れた」なら入れる場所に注目します。把の後ろに置いた対象を、さらに同じ動詞の後ろにも重ねないように、文を一度区切って確かめてください。
一文を作るときの確認順
- 何を取り上げるかを決める。聞き手が対象を分かる場面にする。
- 結果・置き場所・送り先など、どこまで言うかを決める。
- 否定や希望があるなら、把の前へ置く。
- 声に出す前に、誰が何をどうしたかを日本語でも確かめる。
例えば「この紙を机へ」という依頼から始め、対象だけを「この本」に替えてみます。次には否定にして、置いてほしくない場所を伝えます。単語を一度に全部替えるより、同じ形で一箇所ずつ動かすと、語順の違いを確認できます。
確認問題
- 「この紙を机の上に置いてください」を、把を使って言ってください。
- 「宿題をやり終えていない」:我/没/把/作业/做完を並べてください。
- 「この一文を一度読んでください」で、回数を表す部分はどこですか。
- 「このメールを送れますか」の能は、把の前と後のどちらに置きますか。
答えと解説
- 请把这张纸放在桌子上。
Qǐng bǎ zhè zhāng zhǐ fàng zài zhuōzi shang. - 我没把作业做完。
Wǒ méi bǎ zuòyè zuòwán. - 一遍です。ここでは動作を一回行うことを表します。
- 把の前です。你能把这封邮件发给我吗?
Nǐ néng bǎ zhè fēng yóujiàn fāgěi wǒ ma?
